森繁 久彌 ゴンドラの唄(Song Of The Gondola)
作詞/吉井勇作
作曲/中山晋平
森繁 久彌 ( Columbia )
ゴンドラの唄
いのち短し 恋せよ乙女
紅き唇 褪せぬ間に
熱き血潮の 冷えぬ間に
明日の月日は ないものを
いのち短し 恋せよ乙女
黒髪の色 褪せぬ間に
心のほのお 消えぬ間に
今日はふたたび 来ぬものを
この歌の詩を書いた吉井勇(1886年(明治19年)-
1960年(昭和35年)-)は東京、芝の生まれで、
祖父は元薩摩藩士、伯爵の吉井友実で、明治維新の
両巨頭、西郷隆盛、大久保利通の友人でした。勇は
中学生の頃から短歌に親しみ、雑誌に作品を投稿して
一位となりました。高校をを卒業後、肋膜炎を患って
入院し、鎌倉の別荘へ転地療養した際、歌作に励み、
”明星”に次々と歌を発表し、北原白秋とともに新進
歌人として注目されました。22才で早稲田大学文学
部高等予科に入学しましたが中退し、耽美派の拠点と
なる”パンの会”を北原白秋、木下杢太郎、石井柏亭
らと結成しました。そしてその翌年には森鴎外を中心
とする文芸誌”スバル”が創刊され、石川啄木、平野
万里の三人で交替に編集に当たりました。同年、戯曲
の”午後三時”を”スバル”に発表し、坪内逍遥に
認められて、次々と戯曲を発表して、脚本家としても
名をあげました。24才で第一歌集”酒ほがひ”を
刊行し、翌年には戯曲集”午後三時”を刊行して、
耽美派の歌人、劇作家としての地位を築き上げました。
31才で歌集”祇園歌集”が新潮社より刊行され、その
装幀は人気画家の竹久夢二が行い、その後は歌集の刊行
が増えました。この”ゴンドラの唄”が創られたのが
大正4年(1915年、勇29才)で、早稲田大学教授
の島村抱月が主催する劇団”文芸協会”の女性座長、
松井須磨子がツルゲーネフの”その前夜”の中でこの
歌を、トルストイの”復活”では”カチューシャ の唄”、
同じくトルストイの”生ける屍”では”さすらいの唄”
を歌い大評判を呼びました。この歌を作曲した中山晋平
(1887年(明治20年)-1952年(昭和27年))は
長野県中野市出身、18才で代用教員の職を辞して上京し、
上記の島村抱月の弟の縁により抱月の書生となりました。
そして21才で東京音楽学校の予科に入学し、翌年に
本科のピアノ科に再入しました。25才で同校を卒業し、
浅草の千束小学校音楽専科教員を務める傍ら作曲を行い、
島村抱月が松井須磨子らと旗揚げした”芸術座”に参加
しました。そして上記の劇中歌が松井須磨子の歌によって
大流行となり、一躍有名作曲家となりました。31才の時
島村抱月の死去により”芸術座”が解散し、翌年からは
児童雑誌”金の船”に童謡を発表を始めその後、野口雨情
と組んで多くの童謡を発表しました。その他、創作民謡
にも力を注ぎ、野口雨情や西条八十、北原白秋等の作詞
による、多くの曲を作りました。37才で千束小学校を
退職し、41才からは日本ビクターの専属となり、世界的
なオペラ歌手の藤原義江、佐藤千夜子の歌で”波浮の港”、
”出船の港”等々の多くのヒットを生みました。翌年には
西條八十とコンビで作った”東京行進曲”は佐藤千夜子の
歌唱で25万枚という破格のレコード売り上げを記録しま
した。その後、アルト歌手四家文子、バリトン歌手徳山l、
藤山一郎(バリトン歌手・増永丈夫)ら東京音楽学校の出身
の声楽家らがビクターに入社し、中山晋平の作品を歌い
ました。この歌を歌っている森繁久彌(1913年生まれ)は
旧大阪府枚方蔵の谷で実業家となった菅沼達吉と、海産物
問屋の娘であった母との間に3人兄弟の末っ子として生まれ、
2才の時父の死にともない森繁姓となりました。早稲田
第一高等学院を経て、早稲田大学商学部へ進学し、演劇部で
活躍し、当時、東京女子大学の学生であった萬壽子夫人と
知り合いました。大学中退後、東京宝塚新劇団へ入団し、
その後舞台俳優、NHKアナウンサー等を経て、俳優活動に
入りました。NHKアナウンサー時代には満州電信電話株式
會社の放送局に勤務し、満洲映画協会の映画のナレーション
などを手がけ、終戦後はラジオ、ミュージカルを含む舞台、
映画、テレビで日本を代表する俳優として活躍しました。
知床旅情を作詩、作曲、歌いシンガーソングライターと
しても有名になりました。ミュージカル”屋根の上の
ヴァイオリン弾き”では主演をつとめ、公演回数900
回を数え、1991年には文化勲章を受章しております。
この歌は戦後の1952年に日本映画界の巨匠、黒澤明
監督の”生きる”で主演の志村喬が劇中で歌い、深い感動
を呼びました。その他、この歌の歌詞には元歌の詩があると
され、その経緯については下記の”「ゴンドラの唄」に
ついて”に記されておりますので、そちらをご覧下さい。
「ゴンドラの唄」について
(早稲田ウィークリー・俳優森繁久彌さん)
この歌についての感想、思い出等
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